明日は二十四節気の啓蟄です。冬眠していた虫たちが少しずつ活動し始める時期だそうです。季節を表す言葉の一つとして、目の付け所がいかにも日本人的で素晴らしいと思います。
そもそも昆虫に対して日本人のような感覚を持つ民族は珍しいです。虫をカゴに入れて鳴き声を愉しむ、これは世界的に非常に珍しい文化です。ほとんどの国では「(声ではなく)虫の発する音」それも「雑音」として分類しているのです。
また食虫文化もその1つ。これは日本に限ったことではありませんが、食虫文化を持たない国の方が多数派です。恵那市の串原では毎年「ヘボの巣コンテスト」といって、ハチの巣の重量を競うコンテストが開催されています。「ヘボ」というのは「蜂」のことで、恵那市では昔からヘボ(正しくはその幼虫)を食べる文化がありました。
なお「ヘボ=クロスズメバチ」なので、それを採集するには宇宙服のような恰好をします。そんなもののなかった大昔、蜂退治と栄養摂取というものに果敢に挑んだ先人たちに拍手を送りたいですね。
最後に1つ。恵那は蜂を食べる文化が成立するほど蜂が集まる場所、ということは蜂にとって魅力的な花たちが沢山咲いているということ。蜂の媒介により受粉が行われ、その結果として豊かな秋の実りを手にすることが出来るわけで、恵那というところが冬の厳しい寒さにも関わらず、多くの人たちが定住している理由が説明できそうですね。